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1990年(平成2年)王者の16bitマシン登場


・2/11 ドラクエⅣ発売304万本
・4・20 ファイアーエムブレム
・4/26 SNKからネオジオ
・4/27 FFⅢ 140万本
・7/27 ドクターマリオ FCで153万本、GBで208万本
・7/27 PCエンジンで大魔界村
・10/6 ゲームギア
・11/10 NECからPCエンジンGT
・11/21 スーパーファミコン
・11/21 スーパーマリオワールド355万本とF-ZERO

■カプセルモンスター制作開始
この年、田尻氏は通信ケーブルを使ってセーブデータを交換するゲームボーイ用RPG 「カプセルモンスター」の企画書を、ファミコン用ソフト 「MOTHER」 発売を機に任天堂と糸井重里氏が共同出資して1989年に設立した企画会社 「エイプ」 に持ち込みます。

田尻氏がエイプに自分の企画を持ち込んだのは、カプセルモンスターがMOTHERと同じ現代風RPGだったからだけではありません。糸井氏がただRPGが持つ歴史やイメージを 「ゲームを作る理由」にせず、はっきりと独自の理由を持ってゲームを作る姿勢に共感したからです。

田尻氏は 「ぼくは 『MOTHER』 が作りたいんです」 と糸井氏に伝えたそうです。MOTHERみたいなゲームという意味ではなく、自分の 『MOTHER』 を作りたいという事ですね。

この年の秋、田尻氏の企画は任天堂に認められて本格的に制作が始まります。このタイトルが少し名前を変え、世界に名を馳せるゲームボーイ用ソフトとして世に出るのはこれから6年後になります。

■次世代ファミコン用CD_ROMドライブ発表
まず1月、任天堂が年末に発売を予定している16bitゲーム機の増設用CD_ROMドライブをSONYが開発中である事が発表されます。

SONYの開発担当者である久夛良木(くたらぎ)氏はその増設ドライブの名を、仕事をこなす為のコンピュータ(ワークステーション)ではなく遊ぶ為のコンピュータであるという認識から 「プレイステーション」 と名付けました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


■4作目は5話構成のオムニバス形式
2月11日の建国記念日、「ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち」が発売されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


この作品から新たに天空シリーズと呼ばれる新章が始まり、メモリ容量も前作のⅢから倍となってそれまでにない5話構成のオムニバス形式や味方キャラクターのAI実装等、意欲的な試みが取り入れられていました。(もちろん前作同様に全国各地で導かれし者たちの行列が発生して争奪戦が繰り広げられました)

本作は心無い人間達の行いによって人間を憎んでいるキャラを第5章で倒すとエンディングになるのですが、「決して悪とは言い切れないラスボスを倒してエンディングを迎えても 後味が悪すぎる」と一部のユーザーから不満の声が上がりました。そしてこのドラクエⅣに関しては

「実はまだ話の続きがあったが容量の都合でカットになった」

という噂があり、後に別ハードに移植された同タイトルでは

「ファミコン版でラスボスだったキャラがその後仲間になって真のボスを一緒に倒しに行く」

というシナリオが追加されています。しかしこの話がファミコンの頃から用意してあってカットされたものなのかは確認出来ていません。

■ファミコン初のシミュレーションRPG
4月20日、ファミコン初のシミュレーションRPGとなる「ファイアーエムブレム」 が発売されます(注:エンブレムではありません)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


このゲームの開発は任天堂のゲーム筐体や任天堂TVゲーム機の開発ツール、ゲームソフト等を開発していて任天堂と密接な関係にあるインテリジェントシステムが行いました。

ゲームシステムは1988年に同社が発売したファミコンソフト「ファミコンウォーズ」 を元にしていましたが、このタイトルはファミコンウォーズや通常の戦争シミュレーションゲームには無い特徴を備えていました。

一般的な戦争シミュレーションでは戦闘ユニット(歩兵・騎兵・槍兵・飛兵など)の能力の違いを考慮してゲームを進行しますが、この作品は兵種による能力の違いだけでなく同じ兵種でも個別に名前やグラフィックを用意して能力にも差をつける事で一人一人のキャラクターに 「個性」 を持たせたのです。

更に戦闘を繰り返す度に経験値を得て能力がUPする「成長するキャラクターになりきってストーリーを進める」というRPGの要素も取り入れた

「シミュレーション+RPG」

の草分け的存在として、オペラ調の壮大なCMと共に注目を浴びて人気シリーズとなります。(ゲーム中に死亡したキャラは復活せずにその後2度と登場しない等難易度も 「手ごわいシミュレーション」 でした)

■100メガショック!!
ファイアーエムブレム発売の約1週間後、4月26日に業務用ゲーム機 『NEOGEO』 がSNKから発売されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ネオジオは業務用だけでなく家庭用のハードも同時に開発され、ゲームセンターで稼動する業務用ネオジオと全く同じ品質のゲームを家庭でも提供するという家庭用TVゲーム機の表現力が業務用と比べて劣るのが当たり前だった当時に挑戦的なコンセプトを持つマシンでした。

その為、業務用ネオジオのゲーム基盤は家庭用ゲーム機の様に本体基盤とゲーム基盤に分かれていて、カートリッジ化されたゲーム基盤を本体基盤と抜き挿ししてゲームを交換するという家庭用ゲーム機と似た構造になっていました。

それまで業務用ゲームを交換する時は筐体内部のゲーム基盤を丸ごと交換するのが普通で、同じメーカーでもタイトル毎に
電子部品むき出しのゲーム基盤を丸ごと交換する必要がありましたが、

・まるでファミコンのカセットを交換する手軽さでゲーム基盤を抜き差しするだけで交換終了
・1つの本体基盤に最大6本までカートリッジを挿して遊ぶ時にゲームを選べる
・どれだけプレイされたかがタイトル毎に集計出来て人気の無いゲームがすぐに分かって交換出来る
・基盤を分離した事でゲーム1本の価格が3万円前後と業務用では破格の低コスト化を実現
・基盤の省スペース化に伴って筐体サイズも縮小。スーパーマーケットの片隅やデパートの屋上、駄菓子屋店頭のエレメカの横等々、ちょっとしたスペースに設置出来た


以上の特徴を持ったMVSはゲームセンター以外の場所にも普及して行きます。

その後、このMVSで稼働するゲームと全く同じ品質のゲームを家庭でも遊べる事を売りに家庭用ネオジオ(AES:Advanced Entertainment System) が登場、当時急増していたビデオレンタルショップでレンタルが開始されます。

なぜ販売しないでレンタルにしたか?と言えば「業務用と同じ品質のゲームを家庭に届ける」というコンセプトで開発された為に、使われている部品も業務用とほぼ同じであまりに高額になってしまうからです。

しかしユーザーから 「レンタルだけでなく販売もして欲しい」という声が高まり、ついに1991年7月より一般販売が開始されます。AES本体が¥58000、ソフトも1本約3万円(!)とコストダウンなど全く考えない 「値段より質」 な価格設定で高級TVゲーム機として売り出されます。(カートリッジも他社に比べて倍以上の大きさがありました)

価格では全くアピール出来ませんでしたが、「ゲームセンターの人気タイトルが家で好きなだけ遊べる」という一点のみがマニアなゲーマーから絶賛されて販売台数は伸びませんでしたが長く支持を受け続けました。

そんなネオジオも2004年の 「サムライスピリッツ零スペシャル」 を最後に生産が終了します。

しかしこれまでの家庭用TVゲーム機に無い業務用ハードと連携した設計や、価格より質を重視した売り方等移り変わりの激しいゲーム業界で1990年から14年間もユーザーの支持を集めて生産が続いたのは立派な功績です。

■3作目でシリーズ初のミリオンヒット
ネオジオがゲームセンターに登場した次の日、ファミコンでファイナルファンタジーⅢが発売されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

キャラ毎に職業を選べるのは従来通りでしたが、その職業をいつでも変更出来るというジョブチェンジシステムを搭載。レベルを上がると単純作業になりがちな戦闘シーンに「戦う敵によって有利なジョブを考えて選択する」 という戦略性を持たせます。

更に後のシリーズにも受け継がれる召喚獣を今作から登場させて戦いの選択肢を広げる等、その独自さが評価されて「ドラクエに次ぐ」 存在から 「RPGと言えばドラクエとFF」とついに肩を並べる存在としてユーザーに認知されシリーズ初のミリオンヒット(約140万本)を記録します。

ちなみにこのⅢではラストダンジョンの難易度が非常に高い事が挙げられます。

 ・ダンジョンが長い(平均2~3時間)
 ・途中に回復施設(回復の泉・宿屋)が無い
 ・途中にセーブポイントも無いので全滅したらやり直し
 ・ラスボスに辿り着くまでに必ず戦闘になる中ボスキャラがラスボスに匹敵する程強い

開発当時は道中にセーブポイントも宿屋もあったらしいのですがテストプレイしたデバッガに

「こんなの楽勝っすよ♪」

と言われたプロデューサーが回復施設を全部失くしてしまった、と本作でサウンド関連を担当した時田貴司氏が後のインタビューで語っています。

(この一言が無かったらあまりの難易度に激高してカセットを壁に投げつける光の戦士達はいなかったと。今はもう良い思い出ですが、当時は・・・・・)

ちなみにⅢでは登場人物がよく死亡します。これは当時ディレクターを務めていた坂口博信氏の家が本作開発中に火事に遭い、母親を亡くした事が影響していると言われています。

■携帯ゲーム機の台頭
前年のゲームボーイ大ヒットにより、この年は10月6日に『ゲームギア』 (¥19800) や 『PCエンジンGT』 (¥44800)と言った携帯ゲーム機が発売されます。どちらもゲームボーイには無いカラー表示を搭載していましたが

 ・稼動時間が短い
 ・電池の必要本数が多く重い
 ・当時はカラー液晶が高価な為に本体価格も高額に

等の理由でゲームボーイ程のブームにはなりませんでした。しかしカラー液晶携帯ゲームの競争相手もいなかった事から普及台数の割に長く生産されていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■本命16bitマシン登場
家庭用ゲーム機初の16bitマシンであるセガの 『メガドライブ』 に遅れること2年、王者任天堂が国民的ゲーム機ファミコンの後継機として16bitCPUを搭載した 『スーパーファミコン』 を11月に発売しました(¥25000)。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファミコンとの下位互換も一時期考えられていましたが断念され、値段もファミコンから先代から約1万円高い¥25000になりました。

しかし、初代ファミコンとは比較にならない描画処理性能とファミコン時代に培った任天堂ブランドという信頼から既に発売されていたメガドライブやPCエンジンといった他社16bitマシンを圧倒するシェアを獲得しました。

そしてファミコンから引き続き家庭用TVゲーム機市場を独占。2003年の生産終了までに国内で1717万台、世界累計で4910万台を売り上げました。

■スーパーファミコンの特徴
・ファミコンの物を使い回せるという事でACアダプタとTVと繋ぐRFスイッチは本体に同梱されておらずコントローラーも1個のみ
・当時は初代ファミコンとの下位互換も考えられていた
・持っているスペックを発揮するにはハードウェアの制限が多かった(サウンドメモリが64kByteしかないなど)
・開発機材も高く大手以外は参入しづらかった(発売初期はファミコン時代のタイトルに 『スーパー○○』 や 『○○Ⅱ』 等の続編・移植物や安易なキャラゲーが多かった)
・ファミコン時代より更に増えたライセンス料や製造コスト増大により、ファミコン時代と比べてカセットの小売価格が5000~6000円から1万円前後にまで跳ね上がった
・スーパーファミコンでゲームボーイソフトが遊べる「スーパーゲームボーイ」発売
・任天堂とBS放送局セントギガが共同してスーパーファミコン向け衛星データ放送開始。(専用アダプタ 「サテラビュー」 を接続して受信)
・都内のローソンでスーファミソフトの書き換えサービス「ニンテンドーパワー」実施
・本体発売同時タイトルは「スーパーマリオワールド」と「F-ZERO」でマリオワールドは355万本の大ヒットとなった


■メガドライブにモデム機能を追加

みんなが品切れのスーパーファミコンを求めてさまよっていた11月、セガがメガドライブ周辺機器 「メガモデム」(¥12800)を発売します。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月額¥800でゲーム配信サービスを可能にするものでしたが決して安くない本体価格と月額加入料、更に通信料も別途かかる為にほとんど普及しませんでした。(何よりスーパーファミコンの発売にぶつけてしまったのがチャレンジャー過ぎました)


1990年(平成2年)の主な出来事 (大卒初任給 約169,900円)

『一般』
・バブル景気崩壊、現在まで続く不景気スタート

(当時は会社説明会に参加するだけで内定とスキー旅行がもらえた)
・第1回センター試験実施
・東京放送の宇宙特派員秋山豊寛氏が日本人初の宇宙飛行
・イラクがクウェートに侵攻、湾岸戦争勃発
・東西ドイツ統一
・女子高生校門圧死事件
 (神戸高塚高校。登校門限が来て教諭の閉めた校門扉に女子高生が頭を挟まれて死亡)
・イスラム教聖地メッカで巡礼者が将棋倒しになり1426名が死亡

『ゲーム業界』
・任天堂から 「スーパーファミコン」 発売。テレビ番組では専門番組もスタート
・ゲームボーイのヒットを見たセガが 「ゲームギア」、NECが 「PCエンジンGT」 

『ヒット曲』
 ・おどるポンポコリン、さよなら人類、OH YEAR!、くちびるから媚薬、あいたい

『流行語』
 ・ファジィ、おやじギャル、アッシーくん、成田離婚

『連載開始漫画』
 ・スラムダンク (井上雄彦) 「週刊少年ジャンプ」
 ・幽☆遊☆白書 (富樫義博) 「週刊少年ジャンプ」 
 ・クレヨンしんちゃん (白井儀人) 「週刊漫画アクション」 
 ・ナニワ金融道 (青木雄二) 「コミックモーニング」

『テレビ番組』
 ・魔神英雄伝ワタル2     ・ふしぎの海のナディア    ・NG騎士ラムネ&40
 ・勇者エクスカイザー     ・ちびまる子ちゃん       ・銀河英雄伝説
 ・平成天才バカボン      ・まじかる☆タルるーとくん  ・三丁目の夕日
 ・NG騎士ラムネ&40      ・キャッ党忍伝てやんでぇ
 ・いつも誰かに恋してるっ   ・渡る世間は鬼ばかり    ・世にも奇妙な物語
 ・世界まる見え!TV特捜部  ・マジカル頭脳パワー

 

 

 

 

 

 

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