
TVゲーム今昔
1976年(昭和51年):手作りTVゲーム機と脱走ゲーム
国産初の家庭用TVゲーム機 「テレビテニス」 が発売された翌年、秋葉原の電気街から国内初のTVゲームブームが起こります。(昔の秋葉原はサブカル観光地でなく純粋に電気街だったんです)
「ポン」 等のTVゲームが記憶されたLSI(大規模集積回路:large scale integration)とレバーやボタンがセットになった 「TVゲーム機組み立てキット」 がアメリカから供給され、それを当時は純粋な電気街だった秋葉原の電気屋さんが組み立て店頭デモプレイをしつつ販売した所、1式1万円と言うお手頃価格も手伝ってこのキットが大ヒットしました。この動きはそのまま翌年の1977年、家庭用TVゲームのブームに繋がって行きます。家庭用TVゲーム初のブームの発端がおもちゃ屋でなく電気屋だったと言うのも、まだ内部のハードウェア構造が素人でも分かる程に単純だった 「創世記」 ならではです。
そして秋葉で手作りゲーム機が売れまくっていたこの年、アタリ社が発売して「PONG」 に続くヒット作となったタイトルが日本に輸入されます。「ブレイクアウト」(脱走) と言うタイトルですが、日本では一般に「ブロック崩し」 と呼ばれているゲームです。早速タイトーが 「TTブロック」 というコピー品を制作、大ヒットになります。(このゲーム内容でどうして「脱走」という世界観がイメージされたのか… アメリカらしいというか、当時の宣伝ポスターも囚人が壁を壊してます)
早速この年のAMショーでも日本に紹介されましたが、評価はあまり高くありませんでした。ゲームに登場するキャラクタが 「棒」 と 「四角いブロック」 だけで外見が 「PONG」 とあまり変わっていないと言うのが大きな理由でした。実はこの 「ブレイクアウト」 は奥深い面白さが口コミで広がって後に大ヒットゲームになるのですが、前述した通り画面を見ただけで「見た目がPONGとほとんど一緒」 と遊びもせずに評価されてしまい、その面白さの可能性に気付くゲームメーカーはほとんどいませんでした。
でもタイトーを始めとする一部のメーカー、一部の人達はゲーム性の高さに気付いた訳です。「ブレイクアウト」 の面白さに気づいた人達 は早速製品として販売するべく自分の会社で制作を開始したり、または会社を創業して「ブロック崩し」 を自分達の手で制作して業務用TVゲーム市場に参入します。ちなみに当時ブレイクアウトに関する製品を開発したメーカーやこの時に創設された会社を挙げてみますと……
「ブレイクアウトを当時製造・販売したメーカー」
・タイトー (2006年にスクウェア・エニックスと合併)
・ユニバーサル (1998年 「アルゼ」 に社名変更)
「この頃に創業された主なゲームメーカー」
・レジャック (後に倒産して下請けだったコナミが引き継ぐ)
・新日本企画(後のSNK)
・豊栄産業 (後のバンプレスト)
・IPM (後のアイレム。後にアイレムを去った創業者が「日本カプセルコンピューター」 を設立→カプコン)
他にサン電子や日本物産、データイーストやシグマ等、聞いた事があると言うか今でも業界の第一線で活躍している企業名が目立つと思います。後のTVゲーム業界を担う多くの企業がまさにこの時代に「ブロック崩し」 をきっかけにして生まれ、活動を始めたのです。そうして1976年から1978年の間に 「ブレイクアウト」 を元にしたゲームが各メーカーから多数発売され、1年以上も続くブームとなります。
しかし市場にブレイクアウト似のゲームが多く氾濫する事で、「似た様なゲームばかりで、これが飽きられたら 業界全体の売上が急激に下がるんじゃないか?」という不安が常に業界全体を覆っていました。
しかし誕生して間もない国内TVゲーム市場にアメリカの「ビデオゲーム」と張り合う技術・知識はまだ無く、先行きの不安を抱えながらも「ブレイクアウト似のゲーム」 を発売していました。そんな中、ブレイクアウトを参考にしたあるゲームが1978年にタイトーから発売されると、ブームになるどころか日本中を 「侵略」 する社会現象となり、ついにはゲーム先進国のアメリカに輸出される程の人気を集めます。
1976年の主な出来事 (大卒初任給91700円)
『一般』
・北海道の名物菓子 「白い恋人」 発売開始
・ヤマト運輸が個別宅配サービス 「宅急便」 営業開始。初日の引受数は2個
・学校給食で米飯が導入 (それまでパンのみ)
・京都の平安神宮本殿が全焼
・1等賞金1000万円のジャンボ宝くじ発売に各地で群衆が殺到、福岡と松本で死者
・アップルコンピュータ設立
・日本ビクターが初のビデオテープレコーダーを発売
・子門真人の 「およげたいやきくん」 がオリコン史上初の初登場第1位。
その後シングル盤は500万枚以上を販売して11週連続オリコン第1位。
現在でもシングル売上枚数でこれを超える曲は存在しない
『ヒット曲』
昔の名前で出ています、 春一番、 ビューティフル・サンデー、ああ宮城県
わかんねえだろうナ、 おゆき、 東京砂漠、 北酒場、 横須賀ストーリー
嫁にこないか、 山口さんちのツトム君、 四季の歌、 青春時代
ペッパー警部、 あばよ、 S・O・S、 失恋レストラン、 デンセンマンの電線音頭
『流行語』
記憶にございません、 灰色高官、 はしゃぎすぎ、 フィクサー、 ピーナッツ
『漫画』
・土佐の一本釣り(青柳裕介)「ビッグコミック」(1月~)
・ガラスの仮面(美内すずえ)「花とゆめ」(1月~)
・スケバン刑事(和田慎二)「花とゆめ」(1月~)
・まことちゃん(楳図かずお)「週刊少年サンデー」(4月~)
・がんばれ元気(小山ゆう)「週刊少年サンデー」
・東大一直線(小泉よしのり)「週刊少年ジャンプ」(7月~1979年)
・こちら葛飾区亀有公園前派出所(秋本治=連載99回までは「山上たつひこ」の名で執筆)
「週刊少年ジャンプ」(9月~)
・博多っ子純情(長谷川法世)「週刊漫画アクション」(10月~)
・ユニコ(手塚治虫)「リリカ」(11月~)
・リングにかけろ(車田正美)「週刊少年ジャンプ」(12月~1981年
・ドカベン(水島新司)「週刊少年チャンピオン」 10月)
『この年に生まれた有名人』
レミーボンヤスキー、シリルアビディ、ノゲイラ、シウバ、ヒョードル
田村ゆかり、堀江由衣、野島健児、川澄綾子、栗林みな実、生天目仁美
『TV・映画』
超電磁ロボコンバトラーV、 大空魔竜ガイキング、 キャンディキャンディ
ドカベン、 母をたずねて三千里、 まんが日本昔話、 UFO戦士ダイアポロン
マグネロボ ガキーン、 ろぼっ子ビートン、 欽ちゃんのどこまでやるの!
クイズダービー、 大都会、 徹子の部屋、 桃太郎侍、 さかなちゃん
クイズドレミファドン、 名曲アルバム